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神谷 潤一郎
最新実用真空技術総覧, p.908 - 917, 2019/02
真空は加速器における基幹技術であるとともに、最新の加速器は次世代の真空技術を開拓するための課題の宝庫であると言える。特に大強度陽子加速器において、イオン源からの安定したビーム供給、加速空洞の放電抑制、ビームロスの低減、表面からの粒子脱離による圧力悪化抑制という各段階での課題を解決するためには、既存の真空技術の正確な選択と新しい真空技術の開発が重要となる。本稿では、世界最高峰のビーム出力を有するJ-PARCのリニアックと3GeVシンクロトロンを例に、大強度陽子加速器における真空技術について解説する。
寺岡 有殿
真空ジャーナル, (143), p.22 - 23, 2013/01
原子力機構は現在SPring-8に専用ビームラインと研究棟を保有している。そのうち、BL23SUは軟X線ビームラインである。BL23SUは原子力機構の表面化学・放射線生物学・重元素化合物の電子状態研究に利用されるほか、外部研究機関に対する研究支援にも活用されている。当表面反応ダイナミクス研究グループでは、BL23SUに表面化学実験ステーション(SUREAC2000)を設置して、産業上重要な半導体や金属表面の酸化膜や窒化膜の形成過程を、その反応ダイナミクスにまで立ち入って解析してきた。現在、Ge酸化, Ni酸化, Al窒化のほか、文部科学省から受託したナノテクノロジープラットフォーム事業に取り組んでいる。本稿では超高真空表面化学実験ステーションSUREAC2000と、それを活用して行われてきた表面化学研究(シリコン極薄酸化膜形成過程の反応ダイナミクス、NO配向分子線によるシリコン酸窒化反応確率のNO配向依存性)について簡単に紹介し、さらに、外部研究機関への研究支援(ナノテクノロジープラットフォーム)についても紹介する。
小林 泰彦
真空, 50(9), p.564 - 568, 2007/09
放射線の生物作用は、生体分子に対する局所的なエネルギー付与、すなわち空間的にも時間的にも離散的な物理的相互作用の過程から始まる。したがって、照射細胞における直接の放射線障害だけでなく、照射細胞と非照射細胞が互いに影響を及ぼし合う過程を定量的に解析することが、放射線適応応答やホルミシス効果など低線量域放射線に特有の生体応答を解明する鍵となる。さらに細胞内の特定部位へのピンポイント照射によって、生体分子の照射損傷の感知から修復機構の誘導過程,細胞内及び細胞間シグナル伝達,アポトーシスなどにいたる一連の細胞応答の分子機構を、また高エネルギー粒子線のトラック構造における局所的エネルギー付与分布と生物効果のLET依存性などの特徴的な現象との関係を、それぞれダイレクトに解析することが可能となる。そこでわれわれは、TIARA(高崎研イオン照射研究施設)重イオンマイクロビームを用いて個別の細胞を狙って正確な個数の重イオンを照射し、その影響を長時間追跡観察するシステムを開発した。本システムの概要と最近の研究成果を紹介する。
神谷 潤一郎; 金正 倫計; 荻原 徳男; 倉持 勝也; 植野 智晶; 高柳 智弘; 竹田 修; 渡辺 真朗; 山崎 良雄; 吉本 政弘
真空, 50(5), p.371 - 377, 2007/05
J-PARC RCSにおける3GeVビーム取出し用キッカー電磁石は数10kVもの高電圧がかかるパルス電磁石である。そのため電磁石全体が真空中に設置される。その際にいかにして放電を防ぐかが、安定して長期的に電磁石を運転するうえで重要となる。本論文では、放電を防ぐために施されたキッカー電磁石の構造の改善、及び部材段階からの徹底したアウトガス低減による放電抑制の結果について報告する。
金正 倫計; 齊藤 芳男*; 壁谷 善三郎*; 荻原 徳男
真空, 49(12), p.728 - 733, 2006/12
J-PARC 3GeVシンクロトロンに使用するアルミナセラミックス製真空ダクトの開発に成功した。このダクトは、両端にチタンフランジを持ち、外表面には、ダクトの抵抗値を低減させるためのRFシールが施されている。現在、製作工程は確立され、量産を行っている。
小川 修一*; 高桑 雄二*; 石塚 眞治*; 吉越 章隆; 寺岡 有殿; 水野 善之*
真空, 49(12), p.775 - 779, 2006/12
Ti(0001)-11表面を超音速窒素分子ビームで窒化し、リアルタイム光電子分光法で吸着反応ダイナミクスを調べた。調べたすべての窒素供給量において、N1s内殻準位の光電子スペクトルは二つの化学シフトした成分から成り立ち、その結合エネルギーは396.9と396.6eVである。その二つの成分で初期吸着確率はともに入射エネルギーに対して減少傾向を示した。ただし、0.3eVと1.5eVに極小がみられた。そのような入射エネルギー依存性は二つの成分の化学結合状態が類似していることを表している。0.3eV以下では物理吸着状態を経由した吸着過程、0.3eV以上では活性化吸着がおもに起こると考えられる。
中村 博文; 東島 智
真空, 49(2), p.62 - 68, 2006/02
核融合装置における各種放電方法を利用した真空容器からのトリチウム除去に関する経験について解説する。重水素-トリチウム放電の実施経験があるJET(EU)及びTFTR(米)における放電を用いた真空容器からのトリチウム除去経験では、JETでは、トカマク放電や放電洗浄によるトリチウム除去はトリチウム除去に余り大きな効果はなく、TFTRでは、酸素を用いた放電洗浄(He/O-GDC)が有効であるとの結果が得られている。これらの結果をもとにITERでの真空容器内トリチウム除去法として、He/O-GDCが採用されることになった。一方、我が国のJT-60Uに関しては、重水素トカマク放電により発生し、真空容器内に残留しているトリチウムの除去試験の結果を紹介する。JT-60U重水素置換運転の一環として実施したグロー放電,高周波放電及びテイラー放電による重水素,ヘリウム及びアルゴンを作動ガスとしたトリチウム除去実験の結果及び通常のトカマク放電中におけるトリチウム排出量,排出率を測定した結果、放電洗浄によるトリチウム除去では水素を用いた放電が有効であり、その中で水素-グロー放電が最も除去効率が高いこと、また、水素-高周波放電も放電の最適化が進めばトリチウム除去に有望であるとの結論を得た。
鉢上 隼介; 寺岡 有殿
真空, 48(5), p.343 - 345, 2005/05
極薄シリコン酸化膜付きのシリコン単結晶基板に窒素イオンビームを照射してシリコン酸窒化膜を形成した。窒素イオンビームは質量選別されたNビームである。運動エネルギーは約3keVである。照射量は6.310ions/cmである。これはSi(001)表面の原子密度にほぼ等しい。打ち込まれた窒素原子の化学結合状態を放射光を用いた光電子分光によって観察した。低密度の窒素イオン照射量であっても窒素の1s光電子スペクトルを四つの成分に分離することができた。N-1s光電子スペクトル形状の酸化膜厚依存性から各成分ピークの化学結合状態を推定した。
小嶋 拓治
真空, 47(11), p.789 - 795, 2004/11
排煙や排ガスに電子ビームを照射すると、その主成分である空気中の窒素, 酸素, 水及び炭酸ガスなどから反応性に富んだ水酸化ラジカル, 活性酸素などの活性種が生成する。紫外線やプラズマ放電でも同様の反応を起こさせることが可能だが、放射線ではこれらの活性種を高密度に生成させることができるため、石炭/石油燃焼火力発電所排煙中の硫黄酸化物及び窒素酸化物, ごみ燃焼排煙中のダイオキシン類、及び換気ガス中の有害揮発性有機化合物(VOC)などと、それらが極微量であっても効率よく化学反応を起こさせて、それら環境汚染物質を分解または除去しやすい化学物質に変えることができる。ここでは、この原理に基づく電子ビームを用いた排煙・排ガスの浄化技術に関して日本原子力研究所における研究開発例を述べる。
田村 浩司
真空, 47(6), p.477 - 479, 2004/06
レーザー光イオン化されたネオジムイオンビームのエネルギーを1400eVから300eV程度まで変え、その水平ビーム広がりを多チャンネルファラデーカップにより測定した。生成イオンはいずれのエネルギー領域でもビーム状に収束されており、これはレーザー光イオン化生成イオンの照射等の利用に有効である。
高桑 雄二*; 石塚 眞治*; 吉越 章隆; 寺岡 有殿; 盛谷 浩右; 小川 修一*; 水野 善之*; 頓田 英機*; 本間 禎一*
真空, 47(6), p.457 - 461, 2004/06
Ti(0001)表面の酸化反応を400C, 3.710Paの反応条件のもとで放射光を用いてその場リアルタイム光電子分光観察した。酸素の吸着曲線は45-85Lで一旦台形状になるが、その後増加した。この再増加はTiの酸化状態がTiOからTiOに変化することに伴って起こる。結局、酸素の吸着曲線の特異的な変化はTiの酸化状態の変化に対応していることがわかった。
西澤 代治*; 金正 倫計; 金澤 謙一郎; 荻原 徳男; 齊藤 芳男*; 久保 富夫*; 佐藤 吉博*
真空, 47(4), p.339 - 343, 2004/05
大強度陽子加速器施設3GeVシンクロトロンでは磁場歪みと発熱の問題を避けるため、電磁石部主ビームダクトとして円筒状のアルミナセラミック製焼成ダクトを採用する。しかしコストダウン徹底,微細クラック防止を実現しつつ構造強度を保持するには、ダクトを成形・研磨加工することなく、ほぼ焼上がりのままで用いることが不可欠である。このためにはまず、ダクト断面の真円度及び円筒軸の真直度を把握し、ダクト同士の多段金属接合時の接合面積の極大化,軸ズレの極小化を計る必要がある。そこでわれわれは大口径セラミックダクトの真円度・真直度計測機を開発するとともに、その計測法,汎用アプリケーションExcelを用いた最小二乗中心法による真円度,最小領域法による真直度の算出法を確立した。今回はこれら真円度・真直度の算出法,3種類7本の供試体ダクトについて得た一連のデータ、及びその評価を報告する。
寺岡 有殿; 吉越 章隆; 盛谷 浩右
真空, 47(4), p.301 - 307, 2004/04
Si(001)と酸素分子の高温における酸化反応の並進運動エネルギー効果について最近の研究成果を解説する。SiO分子の脱離収率の温度依存性,酸素の吸着曲線、及びシリコンの化学結合状態が並進運動エネルギーで変化することを述べる。酸化膜形成とSiO脱離が共存する化学反応過程に対する並進運動エネルギーの効果を議論する。
西澤 代治*; 金正 倫計; 金澤 謙一郎; 荻原 徳男; 齊藤 芳男*; 久保 富夫*; 佐藤 吉博*
真空, 47(4), p.339 - 343, 2004/02
大強度陽子加速器施設3GeVシンクロトロンでは、主電磁石部ビームダクトとして、世界で初めて大口径の円筒状アルミナセラミック製ダクトを採用する。十分大きなビーム開口径を保ちかつ多段接合時の接合面積を確保するには、ダクト断面の真円度、円筒軸の真直度を把握することが不可欠である。われわれは大口径セラミックダクト用の真円度・真直度計測機を開発するとともに、その計測法及びデータ解析法を確立してセラミックビームダクトの真円度・真直度を始めとする製作精度の計測・評価を進めている。今般、3GeVシンクロトロンのビームダイナミクスからの要求に応じ、初めてBM(偏向電磁石)用楕円セラミックダクト(楕円円筒状セラミックダクト)を試作し、円筒状ダクト同様の製作精度評価を行った。本発表では、これら得られたデータ・知見について報告する。
吉越 章隆; 盛谷 浩右; 寺岡 有殿
真空, 46(5), p.424 - 428, 2003/05
Si(001)表面の酸素分子(110Pa)による初期熱酸化過程(表面温度: 870K1120K)を明らかにするために、放射光Si-2p及びO-1sリアルタイム光電子分光観察を行った。吸着酸素量の時間変化を反応速度論に基づいて解析し、酸素吸着量に対応したSi酸化状態をSi-2p光電子スペクトルの時間発展から明らかにした。
山口 薫*; 山内 有二*; 廣畑 優子*; 日野 友明*; 都筑 和泰
真空, 46(5), p.449 - 452, 2003/05
低放射化フェライト鋼は原型炉の候補材料であり、その燃料水素保持特性及びエロージョン特性評価は、原型炉におけるプラズマ壁相互作用の観点から非常に重要である。北海道大学においては、重水素のイオンビームを低放射化フェライト鋼に照射して、昇温脱離法によって水素吸蔵量を評価した。試料としては、3年程度大気中に放置したものと、鏡面研摩したものの2種類を用意した。オージェ電子分光法で組成分布を測定したところ、鏡面研摩の場合は酸化層が10nm以下であるのに対し、大気にさらした試料は80nm程度の酸化層ができていることがわかった。水素吸蔵量に関しては、水素照射量が少ない内は、大気にさらした試料の方が一桁程度大きいが、照射量が増えるにつれ差は小さくなった。照射量が51018D/cmの場合、両者の吸蔵料はほぼ一致し、ステンレス鋼と同程度であった。これは、水素イオン照射により表面酸化層が除去されたことに対応すると考えられる。
丹澤 貞光; 廣木 成治; 阿部 哲也
真空, 46(3), p.154 - 157, 2003/03
吸着剤を充填した配管中に混合ガスを通過させ、吸着親和力の違いによって通過速度に差が出現することを利用して、混合ガスを各成分ごとに分離し、そのガス成分を、バルブ操作によって適時抜き出すという方法を開発(連続循環クロマト法,Continuous Circulation Chromatograph method,C法)し、それを軽水素とヘリウムの混合ガス分離に適用し、99%以上の純度で各成分に分離できることを報告した。今回は、本技術の核融合実燃料へ適用できることを実証するため、D/Heの混合ガスを用いて実験を行ったので、その結果を報告する。
丹澤 貞光; 廣木 成治; 阿部 哲也; 二ツ木 高志*; 田嶋 義宣*
真空, 46(1), p.44 - 48, 2003/01
半導体製造工場では、ドライエッチング工程や薄膜形成工程などにおいて、全フッ素化化合物であるPFC(PerFluoroCompound)ガスを作業ガスとして使用している。PFCガスについては、地球温暖化防止を目的とした京都議定書の結果を踏まえ、自主的排出削減が半導体業界などで行われつつある。そのため、排出にあたっては種々の方法によって無害化処理が試みられているが、(1)完全に分離・無害化することは難しい,(2)回収再利用が難しい,(3)処理設備の建設費あるいは運転経費が非常に高くなる、という問題がある。筆者らは、これまで核融合炉の排気ガスを構成する未反応燃料成分(水素同位体)とヘリウム燃焼灰を選択的に分離し、未反応燃料成分を燃料として再利用することを目的として吸着材入分離カラムを用いた連続循環クロマト法(Continuous Circulation Chromatograph method,以下C法と略記)を研究してきた。今回、このC法を沸点が僅差(沸点差0.6K)のため、通常使われている深冷蒸留分離方式では分離が非常に困難といわれているCF/NF混合ガスに適用し両成分の選択分離を試みた。その結果、吸着剤として活性炭を充填した分離カラムを用いることによって、室温及び大気圧以下の条件下で各々99%以上の純度を持つCF及びNFに分離することができた。また同時に、連続分離処理を行うために必要な装置の運転制御用基礎データも取得した。
原口 雅晴; 山本 博之; 山口 憲司; 笹瀬 雅人*; 仲野谷 孝充; 斉藤 健; 北條 喜一
真空, 45(10), p.749 - 753, 2002/10
環境半導体,-FeSiは人体への悪影響が少なく、資源も豊富に存在する元素からなる環境に配慮した材料であり、受発光素子・熱電変換素子などへの応用が期待されている。本研究ではSi基板の表面処理法が成膜した-FeSiの結晶性に及ぼす影響を検討することを目的として、高温加熱処理,スパッタ処理,化学処理の3種の異なる方法で処理した基板を用いてそれぞれFeをスパッタ蒸着し成膜を試みた。得られたX線回折スペクトルから、高温加熱処理した基板を用いた場合は成膜温度973Kにおいて相ではあるものの種々の結晶方位が混在する膜となった。一方スパッタ処理,化学処理による基板の場合ではいずれも比較的良好な結晶性を持つ-FeSi膜が得られた。スパッタ処理法は簡易ではあるが表面に欠陥が残ることが予想される。この処理法によって原子レベルで平滑な表面が得られる化学処理と同等以上の膜が得られたことは、基板表面における拡散・反応過程が重要な過程となる本成膜法では欠陥の存在がFe-Si相互拡散を促進させ、薄膜形成に有利に働いたことを示している。
寺岡 有殿; 吉越 章隆
真空, 45(7), p.604 - 608, 2002/07
超音速分子線技術を用いてO分子の運動エネルギーを3eVまで加速し、Si(001)表面の初期酸化過程を研究している。Si(001)表面にO分子線を数秒間照射し、表面酸素量を光電子分光で計ることを繰り返してO吸着の時間変化をいろいろな運動エネルギーのもとで計測した。吸着曲線の一次微分から初期吸着確率(相対値)を求めた。その運動エネルギー依存性には0.3eVに極小が見いだされた。0.04eVから0.3eVまでは運動エネルギーの増加とともに初期吸着確率は減少した。これは前駆体経由で吸着が進むことを表している。一方、0.3eV以上では増加した。これは直接的な吸着を表している。